ドイツ世界文化遺産に登録 取り消された街ドレスデン 原因・理由は橋

世界遺産の裏側で起きたシビアな現実の初耳学。

世界の絹産業の革新と大衆化に決定的な役割を果たした事が認められ、世界文化遺産に登録された施設の1つ、富岡製糸場。2014年の登録を機に、観光客は激増。年間来場者数はこれまでの約4倍の134万人となった。

そして2015年、その期待がかかるのが2015年7月に世界遺産登録された軍艦島などをはじめ、23の資産からなる明治日本の産業革命遺産。

例えば東京から電車で2時間、日帰りで行ける世界遺産が静岡県の韮山反射炉。ペリー率いる黒船が開国を迫って来た幕末の1853年。それを迎え撃つ大砲を作ったのがこの韮山反射炉。期待の観光客数として2014年までは1日100~200人くらいであったが、登録以後は1000~2000人、約10倍の観光客が訪れているという。世界文化遺産に登録されて滑り出しは上々らしい。

では、ここで世界遺産の意外な裏側に関する出題。

現在、世界には1031件の世界遺産があり、更に各国が登録を目指し、アピール活動に必死だが、そんな中、ドイツには世界にたった1つの世界文化遺産に登録を取り消された街がある。

そこはどのような街なのか、そしてどんな理由で世界遺産登録を取り消されてしまったのだろうか。

唯一の世界文化遺産登録を取り消された街を詳しく紹介。実は世界遺産に登録されると、その地区には新たなルールが課せられる。この街はたった1つの建造物が原因で世界文化遺産登録を取り消された。

その街の名前はドイツのドレスデン。ドレスデンはベルリンの南200kmにある。中世の趣を伝える美しい街並みと街の中心を流れるエルベ川との景色の調和。更に日本でも有名な産業がこの街にはある。

ドレスデンのそばには有名な街としてマイセンというのがある。マイセンは日本でも高い人気を誇る高級磁器ブランドである。18世紀ヨーロッパで初めて磁器を作って栄えた街マイセン。その繁栄に一役買ったのが、材料・製品の輸送の要所エルベ川だった。

ドレスデンを訪れる観光客を圧倒する長さ100mのモザイク画は全てマイセン産の磁器タイル。当時の繁栄を物語る優美な景観。世界文化遺産に登録されてから観光客数も増加。

そんなドレスデンが何故世界文化遺産の登録を取り消されたのだろうか。実は原因はたった1つの建造物だった。

それがたった1本の橋である。全長635mのヴァルトシュロッセン橋。このたった一つの橋のせいで世界文化遺産登録を取り消されたのである。

というのも世界遺産を管理するユネスコにはこんな考えがあるからである。

景観の変化を基本的には世界遺産活動の中で認めていない。つまり、一度登録した景観は、その景観を守りなさいという事である。

そう、ユネスコはこの橋がエルベ川の景観を損ねたとして、2009年に世界文化遺産を抹消してしまったのである。

それは日本の世界遺産においても一緒。景観を守る為に不便な事が起こるケースもある。

実際、1995年に世界文化遺産に登録された白川郷・五箇山の合掌造り集落では景観を損ねかねないお土産店の販促ポスターは自粛。2004年に世界文化遺産に登録された紀伊山地の霊場と参詣道では自分の土地の木を切るのにも市の許可が必要な場合もある等、それまで当たり前に出来た事が出井厳されている。

ドレスデンのヴァルトシュロッセン橋の総工費は約240億円を超え、わざわざ巨額を投じた橋が仇となり、世界遺産の称号を失った。しかし、橋の建設にはこの街で暮らす住人の切実な願いがあった。

橋の建設問題に関わった人の話では、川の南側は住宅街で北側は工場など会社が多くある場所。以前はどちらも2km離れた橋まで遠回りしないと渡れなかったので不便だった。市民の生活にはこの橋が必要だったのだという。

橋の建設を問う住民投票の結果、3分の2の人が賛成。皆が世界文化遺産登録を取り消される覚悟で橋の建設に賛成したのである。

橋を建設して住民は大満足だという。

ちなみに観光客は2009年に登録を取り消され後も増加。ドレスデンは今ではむしろ唯一無二の元世界文化遺産の街として人気になっている。

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